シニア大国、傘寿も働く 「オーバー70歳」人材540万人
世界有数のシニア大国ニッポンで「老後」を巡る変化が加速している。団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者となり、「オーバー70歳」人材は540万人に達した。
(中略)
厚生労働省が全国およそ23万社を調査したところ、70歳以上でも働ける国内企業の割合は23年に42%に達し、13年比で2倍以上に高まった。70歳以上の就業者は24年に540万人と14年比で7割増えた。就業者に占める65歳以上は全業種平均で14%、人手不足の介護や建設は16〜17%と高い。
(日本経済新聞 5月5日)
高齢者の数は増えているが、働く高齢者の数はそれ以上に増えている。人手不足の業界を中心に70歳を超えても働くことのできる職場環境づくりが進んだ結果でもある。特に、高齢者が多い地方の中小企業では、年齢に関係なく働き続けることが普通になってきた。規模の小さな企業では、高齢者が働きやすいように勤務形態を柔軟に変更することが比較的容易だったことも高齢者の就労を後押ししてきた理由のひとつだ。今では、大企業も60歳以上の従業員の待遇を改善し、働き方も多様化させることで、シニア従業員のさらなる活用に積極的に取り組むようになってきた。
ただ、多くの事業を抱える大企業の場合は、全社一律で働き方の多様化を進めることが難しい面もある。中小企業の人事制度に柔軟性があるのは、事業が限定され職場と人事との距離が近いということと無関係ではない。一方、大企業の本社の人事が全事業部門の職場の事情を詳細に把握するのは困難だ。大企業では、各事業部門に人事制度を決める権限を一部委譲して、それぞれの職場に合った働き方の多様化を進めることも重要になる。