深刻化する人手不足、増え続けるのは働く高齢者

日本経済は戦前から巨大なアメリカと向き合い、影響を受け続けてきた。米国の圧力に翻弄されるのは、トランプ政権が初めてではない。戦後はそれを何度も乗り越え、共栄の道を探ってきた。
(中略)
 人口減を背景に、日本の労働市場では、働き手を確保することが少しずつ難しくなってきている。独立行政法人労働政策研究・研修機構の予測では、高齢者らの労働参加が順調に進んだとしても、日本の就業者数は30年に24年比1%増の6858万人でピークに達し、その後は減少に転じる。
(読売新聞 5月2日)

人手不足の深刻化に伴って、高齢者の労働参加への期待が高まっているが、二つの面で限界が見えてきている。

ひとつは、高齢者の就労率が上がったとしても、高齢者の総数がそれほど増えないことだ。団塊の世代が後期高齢者となって職場から離れると、その後の高齢者の数は減少する。団塊ジュニア世代が高齢者になれば増加に転じるが、団塊の世代ほどの数ではない。

もうひとつの限界は、高齢者一人当たりの労働生産性がそれほど向上していないということだ。高齢者の求人が比較的低い賃金の仕事が多いのもそのためだ。個人差はあるが高齢者にはもっと多様な潜在能力がある。体力や健康などの理由で、制限があるかもしれないが、そうした制約を軽減して、より付加価値の高い仕事をしてもらう職場環境の整備が重要だ。AIやロボットなどの先端技術の活用が望まれる。