編み物ブーム、シニアも熱中、知的刺激で「脳トレ」効果
「ポケットから出てくるうさぎがかわいい」「細編みだと簡単に作れるね」4月上旬、さいたま市の集合住宅にあるアトリエで福祉用のニット小物を編む会が開催された。参加した生徒は50〜60代の5人。
(中略)
東京都健康長寿医療センター研究所の鈴木宏幸研究副部長は「完成イメージから逆算して編む行為は高度な知的刺激となる。仲間と交流し、編み方や模様など新しい技術を習得することで認知機能の低下を抑える『脳トレ』の効果が期待できる」と説明。「編み方で個性を表現して作品を褒められると、自己達成感の向上にもつながる」と話す。
(日本経済新聞 4月30日)
編み物は若者から高齢者まで幅広い年齢層に人気の趣味だ。練習をすれば、より高度な作品を生み出すことができて、達成感を味わうことができるという点では、音楽や絵画のような芸術系の活動やスポーツと同じだが、編み物は、初心者でも、根気と時間があれば、完成度の高い美しい作品を作ることができる。また、編み方の組み合わせや糸の色など、デザインを考える過程で創造力を発揮できるのも魅力だ。高齢になっても続けられるし、高齢になってから始めることもできるので、シニアを含むコミュニティー形成に役立つ。
編み物が持つこのような特性は、シニアを含む様々なコミュニティーの在り方に示唆を与えてくれる。たとえば、職場というコミュニティーにシニアが参加する場合、多少体力や技能が衰えていても根気と時間があれば達成できるよう業務プロセスを工夫することは大事だ。また、シニアの創造力を活かしたり、達成感を感じてもらう機会を作ったりすることも重要になる。編み物サークルから学ぶことは多そうだ。