退職シニアが中小経営指南

定年退職したシニアを中小企業の経営指南役としてマッチングする「新現役交流会」が、人手不足の深刻化で注目されている。関東経済産業局と地域金融機関が連携し、関東地方を中心に年20回程度開催してきた。専門の知見を求める中小と「生きがい」を探すシニアを緩やかにつなぐ取り組みは、人口減少社会の新しい働き方を探るヒントとなる。
(日本経済新聞  3月25日)

「新現役交流会」とは経済産業省のマネジメントメンター登録制度に登録された豊富な実務経験や専門知識、人的ネットワークを持つ企業OB・OGと、専門的な経営課題を抱える中小・小規模事業者とのマッチングを行うイベントだ。関東経済産業局が活発に活動しているが、九州経済産業局など他の地域でも開催されている。マネジメントメンターへの登録要件は、企業等を退職した者または近く退職を予定している者、1つの専門分野で通算してほぼ10年程度の経験があり実務支援能力が十分に発揮できる者、年齢が50歳以上の者などだが、それほどハードルは高くない。そのため、比較的多くの登録者を確保できている。

一方、マッチング相手となる企業は、信用組合や信用金庫など中小企業を顧客として持つ金融機関が斡旋してきた。金融機関は手数料を受け取るわけではないが、取引先の課題把握と経営支援のために協力している。マッチングした後の報酬や勤務形態は当事者同士が決めるため、多様な働き方が可能だ。

経営上の問題解決のためにコンサルティング会社に依頼することも一般的に行われているが、コンサルティング会社のサービス価格は大企業向けに設定されているため、事業規模が小さい企業にとってコンサルティングフィーは高い。新現役交流会は、求職者にとっても求人企業にとっても、参加するハードルが低く、効果が高いマッチングイベントとして存在意義がある。