生活保護受給者の過半65歳以上、低年金・独居増が影響
生活保護を受ける人の過半が65歳以上の高齢者となっている。日本社会の高齢化が進み、低年金の独居老人が増えたことが背景にある。年金支給額を底上げする改革の先送りが続けば、全額を公費でまかなう生活保護にセーフティーネットを頼る状況が深刻になる。
(中略)
人口全体に占める生活保護受給者の割合(保護率)を世代別にみると、65歳以上は22年度に2.9%と00年度から1.2ポイント上がった。20〜64歳の現役世代は08年のリーマン・ショック後に一時上がったものの、その後はほぼ横ばいで推移している。
(日本経済新聞 3月23日)
生活保護を受ける人の中で、高齢者が占める割合は元々高かった。年金以外の収入がなく、年金支給額も少ない高齢者は生活の維持が難しい。高齢者の絶対数が少なければ、それほど大きな問題ではないが、高齢化によってその数が増加してくると、だれが費用を負担するのかが社会問題となる。
政府の案は、厚生年金が負担するというものだ。しかし、これは、会社員が保険料を支払っている厚生年金を自営業や個人事業主の基礎年金に流用することになり、会社員からの反発は大きい。連合を始めとする労働組合は明確に反対している。「年金支給額を底上げする改革の先送りが続けば、全額を公費でまかなう生活保護にセーフティーネットを頼る状況が深刻になる。」という主張に対しては、税金は自営業者や個人事業主も含めた全国民が所得や消費に応じて納めるものであり、税金で賄う生活保護で高齢者の生活を支える方が、会社員の保険料で会社員でない人の基礎年金を底上げすることより公平だとも言える。公平に基礎年金を引き上げるならば、会社員は厚生年金保険料の増額、会社員以外は国民年金保険料の増額による他ない。そして何より、高齢者が年金以外の収入を確保できるよう、雇用機会の拡大を進めることが重要になる。