高齢者の住まい探しをリアル調査
LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は2025年3月12日 、4月の「65歳までの雇用確保の義務化」を前に、「高齢者の就労と住まい探しの実態調査」の結果を発表した。
(中略)
60歳以降に賃貸物件を探した経験のある人に契約までの期間を聞いたところ、56.4%が「1か月未満」と回答した一方で、「1年以上」と回答した人も15.8%に上った。以前LIFULLが実施した調査では、一般層のうち物件契約までに「1年以上」かかった割合は2.8%となっており、高齢者の住まい探しは一般層と比較すると難しいことがうかがえる。60歳以降に賃貸物件を探した経験のある人に対し、高齢であることを理由に不平等を感じた経験があったかどうかを聞いたところ、37.1%が「あった」と回答した。
(マイナビニュース 3月17日)
高齢になると賃貸住宅を探すのが難しくなる。高齢者は、就労していても収入は下がることが多く、健康不安もあるため、賃貸住宅の所有者は高齢者に貸したがらない。高齢者専用の集合住宅もあるが、比較的費用が高く、一定の資産や収入がある人でないと入居が難しい。高齢者化が進む中、高齢者の住宅問題は、今後、重大な社会問題となる。
安く借りることができるのは公営住宅だが、場所が限られる。就労している場合は、通勤可能な範囲に住居が必要となるが、公営住宅がその地域にあるとは限らない。逆に、公営住宅に入居することを優先すると、通勤圏が限定され、その中で仕事を探すことが難しいこともある。公営住宅は団地を形成していることが多く、場所が集中して地域の中で偏在しているからだ。
職場と自宅を近くする職住近接は、どの世代にも望ましい。しかし、遠距離通勤が厳しい高齢者にとっては、生活の質を維持する上で、特に必要な要件となる。今後は、高齢者の職住近接を実現するよう、行政と民間が協力して取り組みを進めることが重要だ。