企業の中高年比率7割、「老い」への対処が賃上げ持続条件
この10年の日本企業の変化で際立つのは、若手従業員の減少だ。30代以下の構成比率は規模の小さい企業が直近で3割を切っており、大きな企業も4割に満たない。
(中略)
中小企業が税制や助成金での優遇を受けやすくしてきた従来の政策は、過度な低金利状態と相まって、成長力を失った事業も温存させてきた面がある。中小企業の保護施策は必要なものだけに絞り、整理し直す必要がある。
(日本経済新聞 3月13日)
仮に少子化がなく、各年齢の従業員数が同じだとすると、大卒新入社員の22歳から定年直前の59歳まで同じ人数となるので、大卒従業員における30代以下の構成比率は、(40-22)/(60-22)×100=47%となる。18歳で就職する高卒の場合は、(40-18)/(60-22)×100=58%だ。これに比べて、3割か4割しかいないという現状は、従業員の年齢構成が中高年に偏ってきていることを示している。因みに、定年が65歳になると、大卒で(40-22)/(65-22)×100=42%になる。現状、資本金10億円以上の大企業の場合、37%なので、それほど大きな乖離はない。大企業は比較的同数の新卒採用が毎年できているようだ。
規模の大きな企業の方が若い従業員を確保できているのは、労働生産性が高いからだ。従業員一人当たりの付加価値が高ければ、高い給与を支払うことができる。一方、生産性の低い企業も、それを補うだけの税制優遇や補助金を行政から受ければ、高い給与を支払うことができ、若い従業員を確保することができる。しかし、国民経済全体から見ると、この政策は、生産性が低く成長力のない企業に、国家の限られた人的資源を張り付けることになって、日本経済全体の生産性を低下させ、国民全体を貧しくする。生産性の低い企業の保護よりも、むしろ、生産性の高い企業への労働力の移動に努力すべきだ。