踏ん張る高齢技能者、日建連長期ビジョンレビュー
日本建設業連合会が、建設業全体を俯瞰した中長期的な方向性を示す「新長期ビジョン」の本格検討を前に実施した現長期ビジョンのレビュー。その結果の中には、技能労働者の数や賃金に関する約10年前の予測や目標と、現状との対比などを行った非常に興味深いデータが収録されている。思いのほか離職数は少なく、高齢者が踏ん張って現場を支えている実態が判明。裏返せば、高齢技能者の大量退職時代の到来が、いよいよ不可避になりつつあるとも言える。
(建設通信新聞 10月31日)
建設業における技能労働者の人手不足は慢性化し深刻化している。賃金は上昇傾向にあるものの、他の業種の賃金も上がっていることもあり、若年層の求職者は多くない。その結果、今まで建設業界で働いてきた高齢の技能労働者への期待が高まり、高齢になっても働き続ける人が多くなる。この傾向は、10年前から予測されてはいたが、現実は、その予測以上に高齢の離職者は少ない。
次の10年は、さらに人手不足が深刻になると予想される。外国人労働者の増加は、ある程度期待できるものの、全面的に移民を受け入れない限り、大幅な増加は見込めない。高齢者頼みの現場の体制は今後も続くだろう。建設業界には、ロボットの導入や作業の自動化など、ITやAIを駆使した抜本的な省力化の実現とともに、高齢者でも安心・安全に働ける労働環境の整備が求められている。