仕方なく非正規で働く人は確実に減っている

低賃金かつ不安定な雇用形態で働く非正規社員をどうするかは、日本の長年の課題だ。リクルートワークス研究所研究員の坂本貴志さんは「この10年の傾向を見ていると、自分の意思に反して非正規雇用で働く人の数が急減する一方、女性や高齢者など自らの意思で短い労働時間で働きたい人が増えている」という。
(PRESIDENT Online 10月27日)

一般に、不景気で失業率が高いときには、正規雇用が少なく、自分の意思に反して非正規雇用で働く人の数が増加し、逆に、好景気で人手不足のときには、自らの意思で自由度の大きな非正規雇用で働きたい人が増える。バブルの時代には、自ら脱サラをして自営業になる人もいたが、バブル崩壊後の就職氷河期には、正社員になりたくてもなれない人が続出した。そして今、多くの業種で人手不足が常態化し、会社を選ばなければ正社員になることは難しくない。
なろうと思えば正社員になれる今の時代に、あえて非正規雇用を望む人は、短時間勤務などの働き方の自由を求めている人が多い。自分にあった働き方ができるのなら、低賃金で解雇のリスクがあってもよいという人々だ。
一方、企業は人材確保のために、非正規雇用の待遇を改善している。また、正社員も働き方の多様化を求めており、企業もこれに応えるようになってきた。つまり、待遇の面でも、働き方の多様性の面でも、正規雇用と非正規雇用の差は小さくなる傾向にある。今後は、次第に正規と非正規の違いはなくなり、フルタイム勤務を望む人もパートタイム勤務を望む人も同じ人事制度の下で働く時代になるだろう。