生活保護「高齢者世帯」20年前の3倍、全体の半数超
静岡県内の生活保護世帯のうち65歳以上の高齢者を中心とする世帯が2023年に1万4663世帯となり、20年前の3倍に増えていることが3日までの県の集計で分かった。生活保護世帯全体に占める割合も9年連続で50%を超えて高止まりしている。就労の困難な高齢者が物価高などで窮乏し、公的年金が生活保障として機能せず生活保護が常態化している実態が浮き彫りになっている。
(静岡新聞 10月4日)
生活保護世帯に占める高齢者世帯の割合が増加しているのは、静岡県に限らず、全国的なトレンドだ。高齢化に伴って高齢者世帯が増えているのは事実だが、高齢世帯の中で生活保護を受ける割合も増えている。そもそも公的年金だけでは老後の生活は厳しい。ましてや、非正規雇用や自営業で年金の掛け金を十分に支払ってこなかった層は、無年金や低年金となって、さらに厳しくなる。今後、非正規雇用が多い就職氷河期世代が高齢者になると生活保護世帯の増加は加速するだろう。
公的年金と生活保護との一体的改革を求める意見もあるが、それは保有する資産が多い層への公的年金の支給額削減につながる。もし、そうなれば、短期的には支給額の減額によって支出が減少し、年金財政は改善するが、長期的には自営業の富裕層が国民年金に加入しなくなり、収入が減少して年金財政は悪化しかねない。
結局、公的年金や生活保護にできるだけ頼らなくても済むよう、高齢者の雇用機会を拡大することが、高齢者の貧困対策の王道のようだ。