JAL、再雇用シニアの年収維持 高評価者は1000万円超
日本航空(JAL)は再雇用したシニア社員について、年収を現役時と同水準とする。成果に応じた評価をし、上位評価者は地上職で年収1000万円超となる。航空業界では人手不足が深刻となるなか、従業員の高齢化も進んでいる。シニア社員の勤労意欲を高めて、持続的な事業運営につなげる。
(中略)
シニア社員に求める職務レベルは高くし、現役社員よりも給与に占める成果評価部分の割合を大きくする。シニア社員も現役以上の成果を出せば、地上職の高評価者の場合、年収は1000万円を超える見通しだ。2024年3月期の有価証券報告書によると同社の従業員の平均年間給与は921万円だった。
(日本経済新聞 9月28日)
従業員の平均年間給与が921万円であれば、50代の従業員の平均年間給与は1000万円を超えているだろう。そのような企業で、再雇用のシニア社員の年収が1000万円を超えることもあるというのは当然のようでもある。ただ、現行の再雇用制度では現役時代に比べて年収が4~6割減ることを考えると大きな待遇改善だ。そもそも、パイロットのように、定年の前後で責任の重さは違っても業務内容がそれほど変わらない職種では、正社員と再雇用社員との間に待遇の差があることの方が不合理だった。
また、「現役社員よりも給与に占める成果評価部分の割合を大きくする」のは、今後の正社員の人事制度改革に向けた実証実験でもある。労働組合の影響の弱い再雇用社員で新たな人事制度を試みるのはよくあることだ。成果評価重視の効果が確認できれば、正社員を含めた全従業員への展開もあり得るだろう。