若返る高齢者、男性5歳・女性10歳以上?

主要国で最も高齢化が進む日本。ただ、街中では元気はつらつの高齢者もよく目にする。実は高齢者は運動能力などが向上し、体力面で若返っているらしい。
(中略)
スポーツ庁が毎年発表する「新体力テスト」。握力や長座体前屈などで測る。年代別スコアをみると、男女とも65歳以上は右肩上がりの傾向が顕著だ。新型コロナウイルス禍の影響で21年は落ち込んだが、22年の速報値は上昇に転じ、過去最高を記録した高齢世代も多い。例えば、男性は70〜74歳が40.1点と01年の65〜69歳(39.7点)を上回ったほか、女性も75〜79歳は37.4点と98年の65〜69歳(36.8点)を超えた。
(日本経済新聞 11月11日)

今の高齢者は昔から高齢者だったわけではない。運動能力が向上したと言われる今の高齢者も50代の頃に比べれば体力は落ちている。昔の高齢者に比べて体力があるというのが実情で、歳を取るとともに「体力面で若返っている」という事実はない。ただ、寿命が延びるに連れて健康寿命も延び、加齢に伴う体力の低下が逓減しているのは紛れもない事実だ。

また、体力だけでなく、恐らく、加齢に伴う知力の衰えも小さくなっている。結果、それらの能力を総合的に駆使して遂行する仕事の能力も低下しにくくなった。握力や長座体前屈どの体力を測定するテストだけでなく、仕事の遂行能力を多面的に測定することができれば、仕事に対する適性を総合的に把握することできる。スポーツ庁の担務ではないが、行政にもさらなる努力の余地がある。