シニアの新NISA活用術、現役と異なり運用は安全第一に

非課税投資枠が拡大した新たな少額投資非課税制度(NISA)は、退職金などのまとまった資金を持っているシニア層にとっても利便性の高い制度になっている。
(中略)
シニアが現役時代と同じ考えで老後資金を新NISA口座につぎ込むのは考え物。手元の老後資金は将来の生活費だ。2割、3割と減らしていい性格のお金ではない。まず老後の資金計画を立て、手元の老後資金のうち、リスクにさらして運用してもいいお金がいくらあるのかを見極めることが新NISA活用の第一歩になる。
(日本経済新聞 10月2日)

年金だけで生活できる人なら、手持ち資産の全てを投資に回してもよいが、資産を生活費に充当する予定の人は、投資リスクの抑制が重要になる。ハイリスク・ハイリターンの金融商品への投資は限定的にしておくべきだ。NISA枠が余っているからといって、性急に何かを買う必要はない。

そもそも、政府が貯蓄から投資へと言っているのは、先進国の中ではマイナス金利政策を続ける日本だけだ。米国債の金利は16年ぶりの高水準に上昇し、米国債10年利回りは10月19日には4.98%となった。リスクのない、つまりリスクフリーの米国債に5%の利子が付くなら、リスクのある株やリートに投資する妙味は減退する。結果、米国株式市場から資金が大量に流出した。米国も欧州も、今や、投資から貯蓄へ資金が向かっている。日本も消費者物価が3%を超えている以上、速やかに、高金利政策に転換し、円高によって物価を抑制するとともに貯蓄で資産形成ができる経済を目指すべきだ。そうでないなら、日本の高齢者は、NISA枠が余っていても、外貨建ての貯蓄や債券に資金を移し、ローリスク・ハイリターンを図ることも考えた方がよい。