「給与半減」やめて高齢者の戦力離脱を防止、製造業の定年65歳延長

仕事が変わらないのに、給与は半減――定年退職後再雇用に関して「同一労働同一賃金」の原則が全く成り立っていない。日経ものづくりがメールニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者(ほぼ製造業の従事者)を対象に実施した調査では、再雇用になって定年前と仕事量が変わらない場合でも「給与は5~6割程度」という回答がほぼ半数を占め、「3~4割程度」という回答も20%を上回った。この問題を解消し、高齢従業員のモチベーションを向上させようと、定年を65歳に延長する企業が増えている。
(日経クロステック 9月29日)

定年延長に踏み切る大企業の割合は、まだ少ない。しかし、その数は着実に増加している。退職後の再雇用の待遇を改善している企業はもっと多いが、再雇用の待遇改善を進めて行けば、退職しないのと差がなくなり、結局、定年延長と同じになる。「同一労働同一賃金」を突き詰めれば、正規雇用と非正規雇用の差や現役と退職後再雇用の差はなくなり、定年は延長か廃止に向かう。

この記事で取り上げられた住友化学の場合、退職後再雇用の場合の年収は、現役時代の4~5割。企業側に「同一労働同一賃金」の原則はなくても、従業員側にはその意識があるので、賃金が4割になれば、労働も4割になるのは自然の成り行きだ。企業としては、若年層が十分に確保できていれば、それでも良かったが、若年層の確保が難しくなると、高齢従業員のモチベーションの維持が課題となる。少子高齢化の中、定年の延長や廃止は、次第に広がっていくことになりそうだ。