働く高齢者が東海でも増加、採用ノウハウ伝授

東海4県でも働く高齢者が増えている。岐阜県の金属製品メーカーは70歳の未経験者を採用・育成し、70代以上が従業員の4分の1を占める。三重県のゴム製品メーカーは工場内の掲示に使う文字を大きくして見やすくするなど働きやすい環境作りに努める。浜松市はシニア採用ならではのノウハウを企業の担当者に伝えるセミナーを開く。
(中略)
22年度からはシニア世代の採用を検討する企業を対象にセミナーを開催している。「体力低下で長時間勤務が難しい」「定期的に通院が必要」といった高齢者ならではの課題に対応するノウハウを伝える。
(日本経済新聞 7月29日)

高齢者の雇用を増やすために、各地の企業が努力を積み重ねている。特に、製造業では、作業現場での安全確保のため、転倒防止や掲示の分かりやすさの向上など、様々な工夫が行われてきた。これらのノウハウは、それぞれの企業内では蓄積されてきたが、社会全体で十分に共有されているとは言い難い。

こうした中、浜松市が始めたセミナーでは、高齢者を雇用する上での課題とその対応ノウハウを地域社会に伝える上で意義深い。行政の手間は増えるが、補助金を支給するよりは効果的だ。高齢者雇用の需要はあっても、何が課題か分からない、つまり、課題認識が十分にできない企業も多い。課題が認識できても対応策が分からない企業もある。これらの企業に、行政が媒介となって情報を共有することには、高齢者雇用に一歩踏み出すためのハードルを低くすることに貢献するだろう。