「まだまだ働ける」高齢者を安定雇用、大阪・千里ニュータウンの挑戦

少子高齢化による生産年齢人口(15~64歳)の減少などで人手不足が顕著になる一方、定年退職後も働く意欲のある高齢者が増え、シルバー人材を活用する動きが企業などで広まっている。雇用のミスマッチや、労働条件が整備されていないなどの課題もある中、大阪北部の「千里ニュータウン」で、より安定的なシルバー人材活用の仕組みづくりが始まっている。
(中略)
あるホテルでは、客室・レストランなどのテーブルやいすの修繕、厨房の電気設備の修理などをシルバー人材が担う。人事担当者は「電気工事や壁紙の張り替えなどは専門的な技術が必要で、経験のある人の力が欲しい」と説明する。そこで、千里ニュータウンの高齢者に同センターのキャリア人材バンク(無料)に登録してもらい、企業・団体に紹介するニュータウンmono人材活用プロジェクトが始動。
(産経新聞 7月1日)

千里ニュータウンでは、公益財団法人の産業雇用安定センターが始めた「ニュータウンmono人材活用プロジェクト」によって、60歳以上のシルバー人材の活用が活発になっている。産業雇用安定センターのキャリア人材バンクは、元々、1985年のプラザ合意で引き起こされた円高不況時に、失業なき労働移動を目的として設立された。円高不況はその後のバブル景気で消えたが、キャリア人材バンクは、今なお、出向・移籍等による労働力の移動を支援している。

その中で、今回のニュータウンmono人材活用プロジェクトは、企業間の労働力移動ではなく、既に、退職したシニア人材を労働市場に呼び戻すことを目指している。高齢化が進む古いニュータウンという地域特性を活かしてシニアの登録者を集め、近隣企業への精度の高いマッチングを実現してきた。千里ニュータウンは、近隣に空港や商業施設があり、雇用機会が多いという固有のアドバンテージもあるが、この取り組みは、他のニュータウンでも参考になるだろう。