70歳代でも「貯蓄ゼロ」実は多い!

最近では出生数80万人割れというニュースが報道されるなど、少子高齢化に増々拍車がかかっている現状があらためて浮き彫りにされています。
(中略)
金融広報中央委員が行った家計の金融行動に関する世論調査(総世帯)によると、70歳代の貯蓄ゼロ世帯は21.8%となっています。同資料では「金融資産」について「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く」と定義されています。全くお金がない状態だけを表しているわけではないとはいえ、定期収入のみで生活する自転車操業の状態に陥っているシニアもいるといえます。
(LIMO 3月17日)

貯蓄ゼロ世帯が21.8%というのは、多いのか少ないのか議論が分かれるところだ。ほとんどの70代には何らかの貯蓄があるが、全くない人も無視しえない程度に一定数存在する。貯蓄がない層は、恐らく、若いときから貯蓄が少ないかゼロだった可能性が高い。年金を払ってこなかった人の割合も大きいだろう。年金だけで生活することは困難だ。不動産のような実物資産や自営業のための金融資産は貯蓄から除かれているとはいえ、貯蓄ゼロでは仕事を続けない限り、安心な老後は暮らせない。

もっとも、今の70代は、バブル期に現役の働き盛りだった。戦後の日本では、比較的恵まれた世代だ。その後の就職氷河期世代は、非正規雇用が多く、生涯所得も貯蓄も少ない。氷河期世代が70代になる頃には、貯蓄ゼロの比率はさらに高くなるだろう。70代の雇用機会の拡大を今からしておかなければ、生活保護受給者が激増する事態となる。残された時間は、それほど長くない。