手取り52万円大企業勤務、55歳で給与半減

現状の会社員たちは、60歳で定年退職となって一区切りをつけ、その後延長雇用へと進む流れが多い。一方で、「定年退職前の一区切り」もある。それが役職定年だ。
(中略)
厚生労働省『賃金構造統計基本調査』(2021年)によれば、大企業・大卒の部長(平均年齢52.4歳)の平均給与(所定内給与)は月74.46万円。手取りだと51万~52万円程度で、年収は1,238万円程度になる。同調査で非役職者の給与をみていくと、部長の肩書がなくなった場合の平均給与は、月42.29万円。手取りで31万~32万円、年収は617.6万円にまで下がってしまう。要は、肩書がなくなった途端、給与が半減するということだ。
(幻冬舎GOLD ONLINE 4月18日)

役職定年は管理職の若返りを主たる目的としていると説明されることが多い。たしかに、管理職が一定の年齢で役職を離れることは、若手に管理職登用の機会を与えることになる。ただ、役職定年は、この記事も指摘しているが、定年が55歳から60歳に延長されることに伴って導入された人件費抑制策という側面も持つ。その意味では、役職定年で給与が大きく減少することは制度導入の目的に適っている。

定年が60歳に延長された時点では、一定の合理性があるように思えた役職定年だが、再雇用などで65歳まで雇用期間が延長され、さらに70歳まで雇用機会を提供する時代となった今、より合理的な制度への改革が求められている。問題は役職を離任した人の能力と処遇のバランスが取れているかという点だ。たとえば、55歳で役職定年を迎えた従業員が、70歳までモチベーションが下がった状態で勤務し続けることが自社にとって有益かどうか、それぞれの企業が検討してみる必要がある。