お電話1本で届けます シニアスタッフが対応

「注文は電話1本でいインダ!」。トキハインダストリー(大分市)は今月から電話での買い物受注サービス「でんわでインダ」を始めた。拡大する買い物支援ニーズに対応するため、創業50周年の取り組みとして展開。受注から商品配達まで1人のスタッフが担い、消費者一人一人に密着したサービスを提供する。
(中略)
担当するのは同社のシニアスタッフ(再雇用)。長年培ってきた知識や経験を生かし、効率的な事業運営につなげる。
(大分合同新聞 4月3日)

トキハは大分の老舗百貨店だ。百貨店が世に登場したとき、その名の通り、あらゆる商品が一箇所に揃っていることが、それまでの小売の常識を超えたイノベーションと受け止められていた。ネット通販全盛の時代になって実店舗に頼る百貨店は電子商取引(EC)に押されているが、ECにおいても、一箇所で何でも揃うワンストップ・サービスのニーズは変わらない。

インターネット上のECサイトでは、ITシステムによって、商品の検索やリコメンデーション(推奨)を行い、低コストで利用者の利便性の向上を図ってきた。しかし、利用者にとって最高の利便性を提供してくれるのは、言葉で依頼すれば、その意をくんで依頼を実現してくれる人間だ。AIが進歩したとは言え、一を聞いて十を知ることのできる人間には、まだかわない。

元々、古くから百貨店の外商部門は、富裕層を対象に御用聞きサービスを提供してきたが、営業コストが高いことが難点だった。近年、ICTを社内で活用した業務プロセス改革によって効率化が進み、より幅広い購買層に御用聞きサービスを提供できるようになった。ここに、トキハインダストリーのように、経験豊かなシニアスタッフが加わり、顧客とのコミュニケーションの接点に立てば、顧客との信頼関係は強化され、一を聞いて百を知るサービスを提供することができるかもしれない。シニアならではの能力を発揮することのできる仕事のひとつだ。