少子高齢化の進む皇室-日本社会の縮図-

少子高齢化の進む皇室にみる日本社会の縮図とは

三笠宮様の次男、桂宮宜仁様が6月8日、お亡くなりになったことで、皇室は天皇陛下を含めて21人となりました。そのうち、皇位継承権を持つ男性皇族は5人。45歳以下の皇位継承者は秋篠宮様の長男で7歳の悠仁様だけです。その他の男性皇族は、三笠宮様98歳、常陸宮様78歳、皇太子様54歳、秋篠宮様48歳と高齢化が進んでいます。

皇室が抱える女性皇族の問題

少子であることに加えて、結婚した女性皇族は皇室を離れなければならないという皇室典範の規定のため、皇族方の人数の減少は今後も続きそうです。たとえば、婚約が決まった高円宮家の次女、典子様が結婚されれば、皇族はまたお一人少なくなります。

現存する宮家は秋篠宮、常陸宮、三笠宮、高円宮の四家ですが、秋篠宮家の悠仁様以外に男性皇族は誕生していません。このため、皇位は悠仁様が継承されたとしても、将来、皇室は悠仁様のご家族だけになる可能性も否定できません。

この事態に対して、女性宮家の創設や女性皇族による皇位継承が議論されてきましたが、意見はまとまらず、時間ばかりが過ぎています。安倍政権も女性の活躍支援を成長戦略の中核として位置付けていますが、皇室での女性の活躍については保守的なようです。

皇室にみる日本社会の縮図

ここに、少子高齢化が進み女性の活躍が期待されながら、その実現に時間がかかっている日本社会の縮図を垣間見ることができます。もちろん、日本の歴史を背負う皇室は、一般社会よりも伝統を重んじ、保守的になるのは当然です。しかし、一般社会も、建前では男女平等を掲げながら、深層心理のどこかでは性別による差を認めているところがあるのではないでしょうか。

一般社会においては、本音においては性別の差を認めながらも建前ではそれを主張することはできない。一方で、皇室については、日本の歴史と伝統を盾に堂々と公の場でそれを主張することができる。結局、両者の違いはそこにあるのかもしれません。

女性の社会進出に必要なこととは

政府は、成長戦略の中で、管理職など指導的な立場の女性の比率を2020年に30%にする目標を定めました。こうした数値目標の設定も意味のあることかもしれませんが、人々の意識を変えることはそれにも増してもっと重要です。

女性の社会進出が、日本よりも進んでいる欧米でも、程度の差こそあれ、人々の意識の中に性別による差を容認する部分が残っています。英語の「グラスシーリング(ガラスの天井)」とは、女性の昇進を阻害する見えない障壁のことです。制度上、男女の機会均等が担保されていても、女性がある一定以上のレベルに昇進することが難しいことを表しています。米国では管理職の約4割を女性が占めていますが、その米国でも未だにグラスシーリングの存在が問題になっています。制度はすぐに変えることはできても意識を変えるには長い時間が必要なのかもしれません。

そして、変えなければならないのは男性の意識だけでなく、女性も意識を変える必要があるという指摘もあります。フェイスブックのCOOであるシェリル・サンドバーグは、働く女性に向かって「テーブルにつきなさい(Sit at the table)」と呼びかけています。女性が会議に参加する場合、女性が自ら遠慮して後ろの席に座ろうとすることを戒める言葉です。

皇室の問題は、日本の歴史の問題であり、今日では政治的な問題でもあり、特殊な世界の問題であることは事実です。しかし、この問題に多くの人々が関心を持って議論に参加することにより、人々が自身の意識を見つめ直し、その中で男女の差がどう捉えられているかを認識するきっかけになるのであれば、日本の一般社会における女性の活躍を促進する上で有意義なことかもしれません。