スマホの新たなターゲットは-シニアを取込む格安スマホ-

イオンスマホ、格安スマホ

今や小学生からシニアまで保有している携帯電話。その中で、スマートフォンの占める割合が6割近くになったという調査結果が発表されました。MMD研究所が毎年行っている「携帯端末購入に関する定点調査」で、携帯電話端末保有者のうちスマートフォン保有者の割合が、2012年11月調査では49.1%だったものが、昨年は半数を超え50.9%、今年10月の調査では59%となったそうです。

201410スマートフォン所有率出典:MMD研究所「2014年10月携帯端末購入に関する定点調査

意外!?にも少ないシニアのスマホユーザー

しかし、シニアに限るとまだまだスマホは“主流”とまでは言えません。同じMMD研究所の60歳以上のシニアを対象とした調査(2014年9月実施)では、携帯電話端末保有者のうちスマートフォン所有者の割合は27.6%でした。昨年の23.2%からは4.4%増えていますし、スマホユーザーが4人にひとりを超えたと考えれば、シニアにも着実にスマホが浸透してきたことは確かですが、まだまだ開拓の余地は大きいといえます。

シニア層のスマホ所有率の推移出典:MMD研究所「2014年シニア層のスマートフォンに関する調査

同調査でフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)保有者に次に購入する携帯電話端末を聞いた結果では、シニア向けスマートフォン、格安スマートフォンも合わせ「スマートフォン」を購入するという人の割合が23.7%なのに対し、次も「フィーチャーフォン」とする人の割合は42.1%。ガラケー(フィーチャーフォン)でよい、という理由としては、「通話・メール以外の機能を使わないから」「月額料金が安いから」をあげる人がともに半数以上、「操作が簡単だから」という人も4割近くいました。様々な面で「ガラケーで十分」と思っているシニアが相当数いることが伺えます。

シニア層が次回購入する携帯電話端末出典:MMD研究所「2014年シニア層のスマートフォンに関する調査

イオンが参入、盛上るシニア層向けスマホ市場

シニアをターゲットとした取り組みとしては、以前通信事業者のサポートサービスなどについてご紹介をしましたが(シニア活用.com「携帯キャリアのスマホ戦線-シニアの陣-」 2014/2/14)、ここに来て注目されているのはいわゆる格安スマホです。

4月に販売を始めたイオンでは

スマホの料金体系が複雑だと感じたり、高いと感じていたシニア層を中心にヒット
(ダイヤモンドオンライン「楽天も参入する格安スマホ市場イオンでは半数が50歳以上の指名買い」 2014/10/30)

しているそうで、格安スマホの購入者の半数以上が50歳以上とのこと

通信事業者のスマホと比べると通信速度が遅く容量も少ない格安スマホですが、メールとインターネットの閲覧ぐらいであれば何ら問題はありません。「通話・メール以外の機能を使わない」というユーザーには却ってちょうどよいともいえます。それがガラケーより安いぐらいの月額料金で使えるのですから、「ガラケーで十分」という人々の心も動くというものでしょう。

市場の拡大を受け、端末メーカーも動き始めています。格安スマホは、価格を抑えるために海外メーカーの端末が採用されますが、富士通は日本のメーカーとして初めて格安スマホの専用端末を開発。電池がもつ日数を短くするなど一部の機能を押え、従来の半額程度としたスマートフォンを、イオン向けに提供し始めました。

イオンスマホ第4弾は富士通製の防水防塵対応機種となる。これはシニア層から根強く国産機種を求める声があったことから用意されたものだという。
(ケータイ Watch「今度の「イオンスマホ」は親子セット、端末代込みで月3980円~」 2014/11/11)

「らくらくフォン」で実績のある富士通の参入は、またまたシニアの関心を集めそうです。

楽天も格安スマホに参入しましたし、来年には通信事業者が固定されるSIMロックの解除義務化が予定されています。選択肢が拡大することで、シニア層を含め、益々スマートフォンの普及が進むことになっていくことでしょう。