有給休暇-使われずに残る日数は-

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有給休暇、皆さんはどのくらい取っていますか?現役時代、しっかり休んでいましたか?

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、平成24年(または平成23会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数は、労働者平均18.3日。うち、労働者が取得した日数は8.6日で、取得率は47.1%と半分にも達していません。

労働者1人平均年次有給休暇の取得状況参照:平成25年就労条件総合調査結果の概況 P6/第5表

使えるはずが使えていない有給休暇

この有給休暇について、国は内閣府に“休み方改革ワーキンググループ”を設置し、企業に対して社員の有給休暇の消化を義務付ける検討などを始めました。有給休暇は、日本においては労働者が休みを取る時季を指定して休む権利を保持し、使用者は事業の正常な運営の妨げになる場合には変更をすることもできる、という制度になっています。本来、労働者が休みたい日に休みを取れるはずなのですが、現実は上記の通り。休日の権利を半分以下しか行使していません。

その実態を反映するように、厚生労働省の調査によると、有給休暇の取得に対して「ためらいを感じる」とする人の割合は66%(平成25年、「ためらいを感じる」「ややためらいを感じる」の計)に達しています。ためらいを感じる理由の上位にあがっているのは、「みんなに迷惑がかかる」「後で多忙になるから」「職場の雰囲気で取得しづらい」など。周りに気を使って、取れるハズの、本来は取るべき休みが取れない・取りづらい様子がうかがえます。

年次有給休暇取得へのためらい
参照:労働時間等の設定の改善の促進を通じた仕事と生活の調和に関する意識調査

企業側に移る?!有給休暇の時季指定権

政府が検討をしているのは、この現在は労働者側にある、休みを指定・請求する権利(時季指定権)を使用者側に移し、労働者の希望を踏まえた上で企業が休む時期を指定する仕組みに変えることです。フランス、ドイツ、イタリアなどバカンスの国々では、時季指定権は企業側にあります。

毎年の始めに、その1年間で誰がどの時季に長期休暇を取得するかを決定するのが慣例となっている。その際、同時期に社員が一斉に休暇を取得すると仕事が回らなくなるので、企業側は休暇を取る時季が分散するよう、休暇取得の時季を労働者に指定できる権利を持っている。労使で協議・調整しながら、年始の段階で各労働者のバカンスの時季が決まり、その年間スケジュールが職場でも共有されるので、休む間のバックアップ体制なども事前に整備することができる(マイナビニュース 2014/10/18)

時季指定権が労働者側から使用者側に移るということで、労働者の権利が奪われる、却って休みが取れなくなる、などと懸念する声もあがってはいるようですが、行使できない権利では持っていても意味はないでしょう。一方、制度や法律を変えるだけで、業務に支障をきたさず皆が休暇を取れるようになるとも限りません。「○○さんがお休みなのでわかりません」ということのないよう、仕事の範囲や分担を明確にし、情報共有を進め、いつでも誰でも休める状況を作りだすことが欠かせません。また、休暇が取れるようになったとしても、日ごろの労働時間が長いままだったり、逆に却って長時間労働が増えるようだと本末転倒です。

一筋縄ではいきそうにありませんが、ヨーロッパのように、日本人もバカンスをゆっくりと楽しむようになる日が待ち遠しいですね。