高齢者の名簿-あなたの個人情報が流出する理由とは-

個人情報

ベネッセの顧客情報流出事件の際、子供の情報は高値で売買されるということが話題になりました。現時点で小学生であれば、その後の中学・高校・大学の受験や入学・卒業、成人式、適齢期になれば結婚、その後の出産と年齢に応じて様々なライフイベントが続くため、長期にわたって使える、ということがポイントになるのだそうです。

個人情報が出回る理由の一つ「名簿業者」

確かに、「お宅のお子さん、こんど受験ですよね」などという電話がかかってきたり、全然知らない会社から成人式の振袖の案内が送られてきたり、ということは多々ありました。ただ、私が小学生の時には、PTA名簿と称して親の勤務先まで載っている名簿が配られていましたから、ある程度情報は流れるものと皆が思っていたような気もします。

名簿業者というのも昔から存在していました。リサーチの仕事を始めて、“名簿図書館”の存在を知った時は少し驚きましたが、名簿はあくまで営業ツールのひとつという位置づけで捉えられていたように思います。

現代の名簿業者とはどんなものなのか、試しにある名簿業者のホームページを覗いてみました。日本全国465校(1,069学部)の大学と4,954校の高校の卒業生名簿、医療関係者データ、平均年収別企業勤務者データ、そしてアクティブシニアデータまで。実に様々なデータが販売されていました。ちなみに、この業者のホームページには「その全てがソース元の開示が可能な、個人情報保護法下でも利用OKなデータ」とあります。

詐欺にも利用される名簿

問題になるのは、このような名簿が特殊詐欺にも使われているということではないでしょうか。

宮城県警が、県内で高額の特殊詐欺事件が増えていることを受けて捜査を行い、東京都内の特殊詐欺グループの拠点を家宅捜索した結果、5000人分の先物取引の顧客リストや、金取引、株取引の顧客情報などのリストを押収した。(河北新報 2014/8/17)

架空投資などの場合は、一度被害に遭った人の名簿が出回っていて、取り戻したいという心理につけ込む、などと言われていましたが、このような株や金取引を装ったケースでは、投資意欲の高い個人投資家が狙われているということになります。

こうなると、高齢者をターゲットにしたオレオレ詐欺や架空投資詐欺とばかりは言っていられません。実際、最近ではプレシニアの名簿が人気を集めているのだそうです。

金融業者は50代以上の退職が近い人の名簿を求めてくる。退職金を見込んで、高額な保険や金融商品を売り込むためです。(News ポストセブン 2014/7/29)

との理由があるそうです。シニア世代の場合、大学の同窓会名簿は数多く出回っているので、価格はそれほど上がらないけれどすぐに買い手がつくのだとか。さらに、投資目的のマンション所有者リスト、高額ゴルフ会員権保持者リストなどは希少価値があり、子供の情報より高値で出回っているケースもあるのだそうです。

皆さん、なんでここから?というような売り込みの電話などを受けたご経験はありませんか?どんどん多様化し巧妙になっていく特殊詐欺。自分には関係のない話だとは思わない方がよいかもしれませんね。