世界各国の高齢化の現状

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日本は、世界各国の中でも突出して高齢化が進んでいると言われますが、実際に他の国と比べてどれほどの“高齢化先進国”なのでしょうか。

改めてデータを見てみることにしましょう。

最新のデータ(2013年10月現在、総務省発表)で、日本の高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口の割合)は25%を突破しました。2010年時点では23%でしたので、着実に高齢化が進んでいることになります。
比較が可能な2010年のデータで比べると、世界の総人口の高齢化率は7.6%。先進地域が15.9%と高いのに比べ、開発途上地域では5.8%と低い水準にとどまっています。

国別にみると、イタリア、ドイツでは2割を超えており、アメリカは移民などの人口流入も多いことから、13%に留まっていますが、他の欧米各国は概ね十%台の後半です。アジアに目を移すと、韓国は10%を超える水準に達していますが、他は10%以下と、まだまだ若い国あることがうかがえます。

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現在の高齢化率の数字ももちろんなのですが、問題となるのはその進展のスピードです。高齢化率が7%を超えてから倍の14%に達するまでの年数は、フランスが126年、スウェーデンが85年、比較的短いイギリスが46年、ドイツが40年であるのに対し、日本は1970年に7%を超えると、14%を超えたのは1994年。わずか24年しかかかっていません。日本は加速度的に高齢化が進んでいるということなのです。

実は、日本以上に高齢化のスピードが速いのが、お隣の韓国。2010年の高齢化率は11.1%ですが、年々着実に増加しており、上記の7%から14%と倍になるのにかかる年数は日本よりもさらに短い18年と見込まれています(サーチナニュース 2013/11/18)。

中国は、高齢化率は2010年ではまだ8.2%に留まっていますが、母数となる人口が桁違い。60歳以上の人口は2013年に2億人を突破したそうです。今後は一人っ子政策による出生率の低下や都市化の進行の影響でさらに高齢化が進み、国連の予測では2050年には高齢化率は25%を超えると見込まれています。

欧米諸国では高齢化の進行が緩やかで、社会もそれにあわせて変化してくることができたのに対し、急速に高齢化が進むアジア諸国では、社会システムの変化がなかなか追いついていません。日本では既に医療体制の整備や年金システムの再構築の問題が顕在化していますが、早晩韓国や中国でも同様に問題が起こるであろうことは想像に難くありません。

この状況を、日本のチャンスと捉える見方をしている人たちもいます。世界の他のどの国も経験したことのない高齢化に対応していくことができれば、その取り組みを海外でも展開していけるだろうというのです。既に中国で老人ホームの運営を受託する企業なども出てきており、日本式のきめ細かなサービス、“おもてなし”がここでも武器になるのではと期待されています。

高齢化の進展は、遅らせることはできても止めることはまず無理。であれば、ピンチをチャンスと捉えて世界に目を向けた取り組みを行っていくことも大切かもしれません。