東京の高齢化

koureika

東京都の人口が、オリンピックが開かれる2020年をピークに減少に転じ、高齢化が進むというデータが発表されました。
 東京都が今後の都政の方向性を示した『新たな長期ビジョン(仮称)』の中に盛り込まれたもので、
人口に占める65歳以上の高齢者の割合が、2010年の20%から2060年には約2倍の39.1%に上昇すると予測されています。
 
 東京都の将来人口予測はこれまでにも5年ごとに行われており、今年の3月にも2010年の国勢調査の結果をベースにした2035年までの予測が発表されたばかりです。
なぜここで新たな予測が行われたのでしょうか。
そもそも、東京都の『新たな長期ビジョン』は、オリンピック・パラリンピックの開催決定を受け「オリンピック・パラリンピックの成功と大会の開催を推進力とした東京の発展に加え、さらなる先を見据えて首都東京に山積する重要課題の解決への道筋を描く」ために策定が進められているものです(12月末に公表予定)。
ビジョンのターゲットは10年後ですが、長期の政策を展望するには中長期を見据えた課題を明らかにする必要がある。
そのためには、従来の今後25年にわたる人口予測では事足りず、2060年という50年ほど先までの予測を行った、ということのようです。

 3月に発表された2035年の予測値では、東京都の高齢者人口の割合は28.9%。2010年の20%と比べると大幅な上昇となりますが、
日本全国では2010年の23.0%から33.4%へ10ポイント以上増加すると予測されているのと比べると、まだ低い水準です。
一般的に、経済機能が集中する都市には職を求めて他の地域から移り住む人も多く、若い人が転入してくれば出生数も見込めることから、他の地域に比べると高齢化の進展は遅いとされています。
実際に、2012年の都道府県別高齢化率(総人口に占める65歳以上の高齢者の割合)で、東京都は23.1%と沖縄県に次いで下から2番目。
2040年の予測でも、下から4番目となっています。(内閣府『平成25年版高齢社会白書』による)

 ところが、2060年の予測では東京都=39.1%に対し、全国は39.9%。ほぼ変わらない水準に達するとされているのです。オリンピックが終わり、21世紀も半ばに差し掛かることになると、東京の高齢化がもの凄い勢いで進んでいくということになります。

 将来にわたって65歳以上をひとくくりに “高齢者”と捉えていいのかという議論の余地はあるでしょう。
30年前の65歳と今の65歳では、見た目も気力も体力も大きく異なるように、30年後の65歳はもっと元気で今の4-50代と比べても遜色なくなっているかもしれません。
ただ、この予測では75歳以上の人口の割合も、2010年の9.2%から2060年には25%に達するとされています。
東京都の人口の4人にひとりが75歳以上… やはり超高齢化社会への備え、それを前提とした対策は欠かせないようです。
と同時に、予測を覆し高齢化の進展を少しでも抑えられるような施策にも期待したいところです。