デフレからの脱却の裏付けとなるのは?

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9月27日に、総務省より8月の消費者物価指数が公表されました。
変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数(コア)は100.4(2010年が100)。前月比は0.3%の上昇、前年同月比は0.8%の上昇、となりました。

前年同月比でプラスとなるのは、3か月連続。また、上げ幅も6月・7月と比べて拡大しており、デフレ脱却の動きを裏付ける数字であるとして、報道されています。

デフレ脱却の動き裏付け 8月の消費者物価指数0.8%上昇
総務省が27日発表した8月の全国消費者物価指数(2010年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比0.8%上昇の100.4と3カ月連続でプラスとなった。上げ幅は6月の0.4%、7月の0.7%から拡大し、1.0%だった08年11月以来、4年9カ月ぶりの水準。
(Sankei Biz 2013/9/28)

デフレからの脱却は、安倍政権の課題のひとつであり、3か月連続の上昇を受け、甘利経済再生担当大臣も「長いデフレから脱却しつつあるという過程にある」という認識を示しました。
しかし、総合指数のもうひとつの数字、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数(コアコア)」を見ると、こちらは98.5にとどまっており、前年同月比も0.1%の下落と、今年2月のマイナス0.9%などと比べるとマイナス幅は縮小しているものの、依然として下落傾向が続いています。

エネルギー価格の上昇は、世界的な原油価格の高騰という要因もありますが、昨年同時期には1ドル80円を下回る水準にあった為替相場が円安に振れている影響も大きく受けています。
また、食料品の上昇も、円安による包装資材や原材料の価格上昇を受けてメーカーが値上げに動いた結果ともいえるでしょう。
食料品や日用品の値上げを、消費者が受け入れる余地が出てきたという見方もできますが、
一方では、生活必需品に対する低価格志向には根強いものがあるとも言われており、まだまだ右に転ぶか左に転ぶかはわかりません。

甘利大臣もコメントしているように「コアコアがプラスに転じて、大きなショックでもない限り元の状態に戻らない環境が整備された時」にならないと、
デフレからの脱却を果たしたとは言えません。日銀は「今後2年を念頭に物価上昇率2%」という目標を掲げていますが、
現状を見る限りではまだ目標達成への道のりは険しそうです。

実際、「コア前年同月比はプラス0.6%前後へとプラス幅を縮小する可能性が高い」(みずほ証券上野泰也チーフマーケットエコノミスト)、
「9月のコアCPIは前年比プラス0.6-0.7%程度となろう」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)などと、
9月の指数では上昇幅が縮小するという見方もあります(ブルームバーグニュース 2013/9/27)。

10月末に発表される9月の指数も、注目してみていきましょう。