鉱山運行をめぐってコマツ・日立が激突

コマツとGEが鉱山運行の効率化で手を組むことが報道された。コマツは自社の掘削機械・運搬機械にいち早くGPSを取り付け、個々の稼働状況を一元的にモニターできる体制をとったことで広く知られている。

GEも航空機エンジンやガスタービンなどの自社製品をインターネット接続して遠隔管理し、顧客に対する保守サービスや効率化提案を行って来たが、そうして収集・蓄積して来たビッグデータを武器に新たなソリューションビジネスを展開してもいる。

GEは鉱山には発電設備を納入して来たが、今回は鉱山機械メーカーのコマツと組んで、ビッグデータ解析の手法を鉱山運行のトータルシステムとして適用し、効率を飛躍的に向上させる狙いである。

4月8日付の日経新聞朝刊によれば、大型ダンプ等の稼働向上・燃費節減等についてコマツ単独では5%程度の向上に留まるが、GEのビッグデータ解析と組合せると13%程度の向上が図れるとのことである。

両社は昨年からチリの銅鉱山で実証試験を続けており、2015年度中に鉱山資源会社向けに鉱山運行効率化トータルサービスの提供を開始する目論見である。

実は、同様の取組みは日立製作所・日立建機でも進められている。

日立建機は鉱山運行管理システム専業のカナダのWenco社(Wenco International Minig Systems)を2009年に買収した。その後2014年初めにオーストラリアのAPS社(Automated Positioning Systems)からドリルナビゲーションシステムを買い取った。このシステムは、鉱山での穿孔・発破作業における地図上での穴の位置・深さと岩盤の硬さを割り出すもので、Wenco社はこのシステムを入手したことで、採鉱から積み出しに至る一貫システムを構築する基盤を確立した。

日立製作所は、自社のクラウド上にこのWenco社開発の一貫システムを構築、規模の大きい鉱山では無線システムでデータを収集、無線システムを導入できない小規模の鉱山ではGPSを使ってデータを伝送し、世界各地の様々な規模の鉱山のデータを一元的に集約管理し、遠隔コントロールできる体制を整える。

鉱山の生産性を2割向上させることを目標に、昨年からカナダの鉱山で実証試験を進めている。

さて、無人ダンプの開発ではコマツが業界で一歩リードしている。コマツは2008年にチリの鉱山で290Tonの巨大ダンプの無人運転を開始済である。無人運転は高精度GPS位置情報システム、ミリ波レーダ、光ファイバージャイロ、自律運転システムといった技術が揃って初めて可能なものであり、今までは技術力を示す広告塔と言われて続けて来たが、今年はいよいよ本格稼働開始の年になりそうである。

そもそもダンプを24時間休まず運転するには4~5人の運転員が交代しなければならなず現実的ではないが、無人ダンプでは24時間連続運転が可能となり、生産性の飛躍的向上がはかれる。

キャタピラー社は2014年から無人ダンプの試験運転に入り、2015年にはオーストラリアのフォーテスキュー・メタルズ・グループの鉄鉱山で45台を実稼働させる見込みである。

日立建機は2015年4月にオーストラリア東部の試験場で、3台の無人ダンプが同時に安全かつ効率的に走行・積み下ろしできるかのシステム検証を始めた。

英豪資本のリオ・ティント社はオーストラリア西部に鉄鉱石採掘のビルバラ地区を持つ。この地区に15の鉱山、1600kmの貨物鉄道網、4つの港湾ターミナル、2つの発電所があり、鉄鉱石の年間生産量は2.9億Ton(日本の総輸入量の倍)にもなる。

2014年10月リオ・ティントは日立とビルバラ地区の鉱山運行で連携することを決定した。効率化1割を目指して、日立の鉱山運行システム要員約100名が既に現地入りしている。

リオ・ティントは2015年中に同地区にコマツの無人ダンプ150台を導入する予定でもある。また、同地区の貨物鉄道運行を無人化する計画も打ち出している。日立がそれに係るのか明確ではない。

コマツと日立が鉱山運行をめぐって激しく火花を散らしていることは確かだ。