いつまで働く? 公的年金の繰り上げ・繰り下げは損益分岐年齢に注意

公的年金(国民年金、厚生年金)を受け取るのは通常65歳から。この受給開始の時期は、60〜64歳に早めたり(繰り上げ)、66〜75歳に遅らせたり(繰り下げ)もできる。
(中略)
受給開始を70歳に繰り下げるケースでの累計受取額が、通常(65歳受給開始)より多くなるのは82歳から。もし81歳までに死亡した場合は、金額的には不利になる。つまり、損益分岐年齢は82歳だ。また、70歳時点での男性の平均余命約16年を加えた86歳まで生きるとすると、通常の受取額との差は約143万円。
(日本経済新聞 11月26日)

政府は受給開始の繰り下げを推奨しているが、実際に繰り下げをする人の割合は多くない。65歳で仕事を辞める人が多く、年金収入がなければ生活の維持が難しいという事情はあるが、この記事が指摘するように、繰り下げて年金額が増額されても、累計受給額が65歳受給開始よりも多くなる損益分岐点まではかなり時間があるという事実も影響している。65歳の時点で、82歳まで生きる確信が持てないと、70歳までの繰り下げを決断しにくい。

しかし、70歳まで生きているのであれば、その後の平均余命が約16年であることから、確率的には累計受給額が標準より多くなる可能性が高い。また、繰り下げは途中でやめることもできる。途中でやめた場合、その時点での増額率で受給を始めることになる。65歳まで遡って一括受け取りをすることもできるが、この場合は、年間の所得が大きくなるため、税金や社会保険料の負担が大きくなることに留意が必要だ。

65歳から70歳までの間は、健康であればできるだけ長く働いて年金受給を繰り下げ、途中で年金が必要になったときには、繰り下げをやめるというのも選択肢のひとつだ。