ミドルシニアの副業、会社も後押し
終身雇用を前提とした日本企業の多くは、正社員の副業を禁止してきた。しかし近年、副業を解禁し、むしろ「後押し」する動きも出てきている。
生活用品大手ライオンは2020年、副業を原則禁止から申告制に改めた。これからのキャリアを社員に自律的に描いてもらうための人材開発施策の一環だ。副業で社外の人と仕事をすることで、自身の経験の生かし方や強みの再発見につながる。社外との関わりから新しい価値を創造するなど、会社への「還元」も期待し、ライオンは積極的に社員に副業を呼びかけている。人事部の青木陽奈さんは「副業を通じて強みやスキルを再認識し、キャリアの選択肢を広げるなど、ミドルシニア層にとっても新たな可能性を見いだす機会を提示していきたい」と話す。
(朝日新聞 1月9日)
人の能力は自分自身が思っている以上に多様性があるものだ。ひとつの会社、ひとつの職場で、ひとりの人の潜在的な能力をすべて発揮できるとは限らない。社員の担当業務を特定の仕事に限定するのは、人材の社会的な無駄遣いとなる場合もある。社員に副業を認めるのは、社員の自己実現のためでもあるし、企業の生産性向上のためでもあり、社会の人材有効活用のためでもある。
たとえば、弁護士や公認会計士、コンサルタントのように、独立した事業として特定の業務を行う職業では、複数のクライアントを持つことの方が普通だ。複数のクライアントの案件をこなす中で多様なノウハウを蓄積し、新たな案件の対応にそれを活かす。社員の副業も同様の効果が期待できる。副業は、正社員として雇用している企業にとっても、副業のクライアントにとっても、より高い付加価値を得る可能性をもたらす。そして、社員本人にとっても自己実現の可能性を広げる良い機会となる。
