-第3回-さまざまな組織と、マネジメント

アイキャッチ「個人と組織とが、新たな活性化をするために」

組織とは何でしょうか、という問いかけを、皆さんにすると、どんな答が返ってくるでしょう。「会社のことじゃないの」とか、「何か四角張ったところのような感じがしますね」という反応が戻ってくるような気がします。
字引を引くと、広辞苑には

  1. 織物で緯(よこ)糸と経糸を組み合わせること
  2. くみたてること
  3. (生物)ほぼ同型の細胞の集団
  4. 社会を構成する各要素が結合した有機的な働きを有する統一体

という順で出てきます。 これがこれから説明しようとする、産業組織を意味する「組織」のことのようですが、国語の世界の中では、なかなか説明をしにくい事柄のようです。

組織とは、ある明確な目的を持った集団

産業・組織心理学では、さすがに、第1に組織の説明が始まります。山口裕幸先生のご説明では、

組織とは、明確な目標を持ち、それを効率的に達成するために、水平の分業を取り入れるとともに、垂直方向の分業も行って、全体の統合がなされている集団である

と書かれています。

つまり、ある明確な目的を持った集団で、その目的を出来るだけ効率よく実現するために、普通は、製造、営業、管理・総務、といった水平方向の分業と、社長、部長、課長、担当者のような垂直型の分業が組み合わさって、統合的に運営されているものです。

どこかの会社に就職しようとするとき、最初から社長になるわけではないのでこの縦横の一つの部分に組入れられることになり、その部分を「役割」と言います。
「役割」はその組織に特有のもので、その組織の仕事によって縦横の考え方を割り付けているので、新入社員は、先ずその考え方や会社のルールを学ばなければなりません。

皆さんはすでに何かの形で、仕事についた経験があると思いますが、業種、業態が違うと、いろんな知らない仕事があったり、同じ仕事が、違う名前で呼ばれていたりします。

私の経験から、組織の違いの説明をもう少し具体的にして見ましょう。

組織により変化する仕事の「役割」

まず大きいのは、産業の違いで、1次産業、2次産業、3次産業。仕事の対象が自然に直接かかわるところ、工場で作業をする工程が入るところ、事務作業か物流作業か、人を対象にその人の心を捉えることが仕事の内容であるか、という違いです。3次産業は今や、全産業の70%を超えるわけで、サービス産業と簡単にひとくくりに考えることはできません。ただ人の感情が常にかかわる点で、人間に対する理解を持つことが基本であることと、モノのように在庫を持つこと、送りつけることが出来ないので、企業のマネジメントをする立場からは、「人」をどのように扱うか、という技術が肝心なものになると云うことです。また各産業に共通する基盤として、最終的には人が関わっているという点で、人間に対する尊重の気持ちを持ち続けることが必要です。

次に気になることとしては、民間企業と公的機関という区別で仕事を考えるのでは無く、民間に出来るNPO(非営利型法人)、非営利型の一般社団法人、等の働き方が、公的機関と連携しながら活動する形が増え、一方で行われている、猛烈な非人間的な余業、残業型の仕事を吸収していくような形が作れないものか、より自由で、選択可能な働き方として、楽しみながら働くことにならないだろうかと思っています。

そのように考えると、仕事の「役割」というものは、世のなかの進歩、変化によって、大きく変化していくものであると思いますが、そこで必要なことは、その際に必要なマネジメントの形、必要とされるスキルの種類、がどのようなものになるかだと思われます。