-第4回-組織の中の人をマネジメントする

アイキャッチ「個人と組織とが、新たな活性化をするために」

組識と人については、昔から仕事に必要な3つの資源として、「人、モノ、カネ」と言われてきたのですが、「本音はお金でしょ」、とはどこかの大臣のセリフではありませんが、お金の方が重んじられた時代が長かったように思います。

しかし、これからは、人のマネジメントが出来なければ、仕事は廻っていかないことを肝に銘じ無ければなりません。そして、その基本には心理学という人文科学があり、その基礎にはそれぞれの時代の哲学が横たわっていることを、知っていなければなりません。

人事という仕事が難しい理由とは

私たちが、会社で人事をやっている時期には、人事管理、または人事・労務管理という言葉が使われていました。採用、配置、社内教育、昇給・昇格、そして退職に至るまでの管理をすることで、適材適所が一番いいことは、誰もが分かっていることでありながら、いろんな事情が先行して、結果として出来る人のモラールを下げ、人事としても不本意な憶測を受けたりして、本当に難しい仕事であって、これからもあり続けることでしょう。

今、HRMという言葉がこの仕事に使われるようになりましたがそれはHuman Resource Managementの略で、人的資源管理という言葉が正式な言い方になったということです。

私が、最も人数の多い営業部長から人事部長に転じたとき、人事部の大先輩で、すでに退職されていた方が私の席にアドバイスに来てくださって、「長く人事をしてきたけれども、一番難しくて、ついに解くことが出来なかったのは、人事評価だったな。」と言われたのを忘れることが出来ません。人が人を評価するわけですし、その時にいい人事だっただろうと思ってやったとしても、上司や関係する部門が変わり、世の中の環境が変わり、会社として必要な課題が変わってくると、評価基準そのものを変えざるを得ない事態も起こります。私が、その席に座っていた時期も、まさに大きな変動期で、本当にやりたいことだけでは当然無くなっていて、充分な対応が出来なかったことを反省せざるを得ません。

HRMのパラダイムシフトの中で起きていることとは

しかしそれからまた相応の年月がたって、今、まさに大きなパラダイムが転換していて、組織の中の人をマネジメントする人事の仕事、HRMは、基本的な考え方を大きく転換し、その基本理念としての考え方、人事制度の構造の枠組み、具体的な評価制度、人材活用の実際業務を、対応するためには打ち出していかなければならないのです。

何が違うかを、まず言ってしまうと、会社中心から個人中心になったこと、終身雇用、一社懸命ではなく、個人も企業も、それぞれの目的が大きく転換する可能性があり、そのような前提の中でお互いに自立し、自分の目標により忠実な生き方、働き方を探さなければならないからです。

しかも、50年の年齢幅の中で、現在働いている人を対象に、一斉にルール改訂を実施しなければならないのは、戦争か革命がおこった時でもないと実行するのが難しい事なので、実務的には、弾力的転換ならざるを得ず、本当に難しいことだと実感します。

今後の個人と組織の関係のあり方

そこで、お終りになりますが、難しいことはそれ流のやり方をする他ないので、大きな理念を「キャリア開発」という個人個人のキャリア育成を第一番とし、組織と個人がお互いの目的への摺合せを我慢強く実施していきながら、大きな筋を通すことと、個別の運用を弾力的、長期的貸し借りを織り込みながら、実施していくほかないでしょう。

一つ一つ手で仕分けていくような管理がマネジメントです。手で作業する、目でよく見、耳でよく聴きながら進めるほかありません。その中に、未来の規範が出来てくるものと思います。若い皆さん、がんばりましょう。夢のある計画ですから。