日本の高齢単身者世帯数は573万世帯-家族と世帯の変貌を追う-

20150310

国勢調査の統計データから、世帯総数と一世帯当り人数の推移をたどってみたい。

我国の1970年の一般世帯数は3030万であった(児童保護施設・療養所など一般世帯に属さない特殊な世帯もわずかにあるが、ここでは省略する)。40年後の2010年は5184万と世帯数は7割以上も増加した。

世帯数と平均世帯人員の年次推移

世帯数の推移

引用 厚生労働省「平成25年 国民生活基礎調査の概況」

一般世帯の一世帯当りの平均人数は、1970年は3.41人であったが、2010年には2.42人へと減少した。1970年の10年前の1960年の平均人数は4.14人であったから、過去50年のスパンでみると、4人以上いた家族が夫婦二人か夫婦と子ども一人の家族に変わったとも言える。

要因

1970年から2010年の間の一般世帯数の変化を家族類型別に見てみよう。

祖父母の両方あるいはいずれかと孫が同居する3世代世帯は488万から366万へと25%減少した。60代半ばの友人・知人の中に孫のいる者が少なくないが、孫と同居している者はほとんどいない。一時代前なら「おじいさん」「おばあさん」らしくなって、孫の遊び相手や世話をしていたように思うが、今は「じいじ」「ばあば」と呼ばせて、孫の相手は子ども夫婦が孫を連れて来た時ぐらいで、自分の楽しみを優先させている人が多いように見受ける。

3世代世帯

核家族化の進展で、夫婦と子どもだけの世帯が1247万から1444万へと16%増加した。子どものいない夫婦のみの世帯は、297万から1024万へと3.4倍に増えた。この約半分が子どもが独立した後の高齢夫婦世帯、残りの約半分がまだ子供のいない比較的若い夫婦世帯だ。

世帯数詳細

また、ひとり親と子どもの世帯が174万から452万へと2.6倍に増えた。その8割以上は母親と子どもの世帯であり、寡婦世帯もあるが、増えたのは離婚による母子世帯とシングルマザー世帯である。

そして、単独世帯は614万から1679万へと2.7倍に増加した。

単独世帯

平均初婚年齢は男性が1970年の27.5歳から2010年には31.2歳に、女性は1970年の24.7歳から2010年には29.7歳になった。また生涯未婚率は男性が1970年の1.7%から2010年には20.1%に、女性は1970年の3.3%から2010年には10.6%になった。

結婚に関して

いずれの数値も調査機関により若干の相違あるが、ここでは国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料の数値を引用した。
単独世帯の急速な増加は、これらの要因が大きいと思われる。

さて、高齢夫婦世帯とは世帯主65歳以上、配偶者60歳以上の世帯をいい、高齢単身者世帯は65歳以上の単独世帯をいう。この類型区分は2000年以降からしかたどれないが、2010年までの10年間に高齢夫婦世帯は366万から525万へと43%増加、高齢単身者世帯は303万から458万へと51%増加している。

高齢者

2010年の単独世帯数全体が1679万であったので、458万は全体の3割近くに当たる。高齢単身者世帯がさらに増えて行くことは確実であるが、単独世帯がどの世代でも増えているので、この比率がどうなって行くのかの予測は難しいところである。

単独世帯

諸外国の状況はどうであろうか?
欧米主要国の一世帯当り人数は、アメリカ2.6人、イギリス2.4人、ドイツ2.0人、フランス2.2人であり、我国の2.4人は先進諸国に追いついて来たレベルと言えよう。

欧米主要国の世帯人数

一方、アジアは、中国3.1人、韓国3.3人、タイ3.3人、インド4.8人と先進諸国に比べればまだ多い。ただ、世界保健機構が発表した2012年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの数のこと、日本は1.4 )を見ると、中国1.7、韓国1.3、タイ1.6、インド2.5と少子化が進んでいるので、アジアのこれらの国でも家族規模の縮小はさらに進んで行くと思われる。

アジア諸国のデータ

昔、アジア諸国の家族は貧乏で子沢山、教育も受けず、半裸で屈託のない笑顔の子どもたちに溢れていた。若い頃、アジアを旅してそういう風景をいくつも見たが、時代はすっかり変わってしまったようだ。最近、テレビでアジアの家族と生活の特集番組があったが、取り上げられた都市のコンドミニアムに住む家族の子どもは一人っ子で、親はこの子を綺麗に着飾らせ、最上の教育を受けさせようとしていた。

思えば、日本の家族も変貌して来た訳だから、当然と言えば当然だ。我国でもそれらの国でも家族の規模が小さくなったが、家族関係や生活はそれ以上に変わったのである。