コラム

  • 自由の世界に遊ぶ達人
    I氏は大手自動車会社のエリートコースを歩んでいた。国際事業畑で経験を積み、北京に駐在し中国向けビジネスを数年に亘り統括した。油の乗った時期であった。 しかし、帰国直後に待ち受けていたものは、会社が外資に買い取られるという事態だった。考えても見なかったことだが、グローバル化による大競争時代の現出が多くの大手や老舗をも呑み込んで行く時代で、それが自分の会社に起きた。 外資は旧来のやり方を徹底的に変えた。彼が勤めていた大手自動車会社はそれなりのカルチャーを育んで来た会社で、社員のプライドも高かったので、それを崩すためにショック療法が採られたようにも思えた。 そんな或る日、I氏が私を訪ねて来て「会社を辞めることにした。」と言った。 会社が平穏ならば、これからという時期での突然の辞職で...